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【送料無料】僕はもう、一生分泣いた |
病気はなりたくてなるものではないけれど、どう病とつきあいながら生きていくか、シンプルながら実感にあふれた言葉。
円広志さんがパニック障害になって9年になるといいます。
副題には「パニック障害からの脱出」となっていますが、実際は、完治というわけではなく
調子の悪い日もいまだにある、ということです。
僕はもう、一生分泣いたは、とてもストレートで、こういう歌手、芸能人、タレントさんの本というのは、
大体、ゴーストライターが書いているそうで、あまり読まないのですが、
ふと、まえがきを読んだら、円さんは、はっきりと「自分で書いた文章ではなく、インタビュー
をまとめて書いてもらった本だ」と書かれているのが、いいと思います。
自分をよく見せようとこそこそしないで、これは、あくまでも自分の語りを代筆してもらった、という
正直さがいいと思うのです。
「夢想花」♪とんで、とんで、とんで〜〜〜♪という曲で、有名な円さんですが、歌手としての
ヒット曲はこの一曲くらいで、今は、作曲や新人の歌手の育成に力をそそいでいるとの
ことですが、タレントとして、バラエティ番組にとても忙しくしていた時期、40代半ば突然、
パニック障害に襲われます。
もともとが健康体で、病院嫌い・・・ただ、めまいがする、風景がおかしい、車のスピードに
理由理屈ない恐怖を感じる、狭いところ、暗いところに恐怖を感じ、動けなくなってしまう。
大きな音がダメになって音楽も聞けなくなってしまう。
とにかく、わけのわからない「恐怖」で体が全く動かなくなってしまって最初は、驚くばかり。
病院にしぶしぶ行っても、原因はわからない。
そしてとうとう「パニック障害」であることがわかり、意を決して仕事を休み、治療に専念する
わけですが、やはり、仕事がなくなればどう生活していけばいい?という大変な悩みに
苦しみます。
しかし、状態は悪くなるばかり。とうとう「休ませてくれ」とテレビの収録の後、駐車場で、
マネージャーに大泣きしながら訴えてしまったといいます。
マイケル・J・フォックスの『ラッキー・マン』の、30歳にしてパーキンソン病になってしまった
苦悩とだぶるところがあります。
自分もパニック障害ではないのですが、目にはわからない病気を持っており、
その症状のひとつに、毎日微熱が出る、というのが18年続いています。
発熱性消耗疾患とか、不明熱とか、自律神経失調症とか、色々言われても、微熱を治す
薬はいまのところありません。
円さんの症状は、傍から見ると理解できない、怪我して包帯しているわけでもない、目に見えない
心や神経の異常です。
そして、無神経な人たちの「わがまま」「精神が弱いから」「なまけもの」・・・という言葉に深く傷つきます。
「微熱なんかで病院に来ないでください」
「熱なんか気にしなければいい」
「微熱なんかもう普通の体温だと思えばいい」
「人間の体温なんて毎日変わる」
・・・・・・・これが、私が実際、病院の医師や看護師に言われた言葉です。
円さんと同じように「なまけてる」「わがまま」「精神が弱い」「子どもがいたら病気になんか
なるはずがない」・・・・周りから、さんざ言われて傷つき、ますます、自分を追い詰めていく。
では、発熱が毎日毎日続いて、疲労が蓄積して、それでも無理に体を動かして、働いたあげく
どうなったか・・・・足が動かなくなりました。
階段、段差、坂が登れない、椅子から立てない・・・・めまいがして、気づくと階段の前で
座り込んでしまっている自分。そんなつらさを「気にするな」の一言ですます、医療関係者。
骨折して足にギプスをはめている人に「痛いのなんか気にするな」と言うでしょうか?
いかにも「目に見えて痛そう」はわかる、円さんも同じような怒りにかられたといいます。
しかし、私はある病院での先生との出会いがありました。
「微熱は、どんな病気の前触れかわからない。とにかく検査しましょう」と微熱を馬鹿にしない
医師との出会い、そして、理解されない苦しみを吐露するためにとカウンセリングの紹介も
してくれて、今に至っています。
円さんもある医師との出会いがあって、そして、病気とつきあいながら、それでも
音楽の仕事を続ける、完全にリタイアしてしまってはダメだ、ということも言われています。
全くその通りです。自己憐憫にひたっているだけでも良くならない。
これは、本当に実感として涙がでました。
そして、大切なのは、自分はパニック障害だ、と公言して差別されない社会をめざすために
まず、自分が色々な場で、語る、伝えるということも仕事にしている、とのことで、
「目に見えない病気への差別」への強い意志と実行力には勇気づけられました。
ただ、病気の事を語る時は、大体病状が悪化してしまうけれど、それでも、ひとりじゃない、と
大きな声で言わなければならない、という勇気は、なかなか持てません。
飾り気のないストレートな文章ですが、それだけに訴えるものは大きく、わかりやすいものになっています。
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